会話形式で楽しく学ぶ税務基礎講座
会話形式で楽しく学ぶ税務基礎講座
文書作成日:2022/01/10



 2021年12月10日に公表された令和4年度税制改正大綱に、贈与税が相続税と一体化することとなった改正項目の記載はありますか?


出演:  … M社 経理部部長   … 顧問税理士



― M社 ―

M社経理部古門部長と顧問税理士が、打ち合わせをしています。




 そういえば、この1年くらいでしょうか。
 “相続税と贈与税の一体化”という語句が入ったタイトルの情報を、よく見るようになったのですが。
 この件は、令和4年度税制改正で改正されることになったのでしょうか。




 2021年12月10日に政府与党が公表した令和4年度税制改正大綱には、改正項目として記載はされていませんでした。




 そうなんですね。
 じゃあ、結局は見直されないんだ。




 そうともいえないんですよ。




 え?
 なぜですか?




 改正項目としての記載はありませんでしたが、今後の税制改正にあたっての基本的な考え方の中で、「相続税・贈与税のあり方」としての方向性が示されていまして。
 その中で、“相続税と贈与税の一体化”についても言及されています。




 具体的にはどういったことが書かれているのでしょうか?




 そもそも、贈与はその贈与資産の移転時期を選択することができるのに対し、相続は選択することができません。そのような中で、もっともタイミングのよい、つまり、贈与税の負担が少ない時期を狙って、あるいは、相続税が課税されないと思われる時期を狙って財産を移転させることができるのが、贈与の特徴のひとつです。
 また、暦年課税による贈与でしたら、財産の額に応じて税率が変わる“超過累進課税方式”によって贈与税を計算することから、将来課税されるであろう相続税額よりも低い贈与税額になるように贈与財産を設定し、毎年のように移転することができます。
 そのような贈与を長年繰り返すことで、実際の相続時での相続税額よりも税額を低く抑えて次の世代へと財産を移転することができます。
 こうすることで、リッチな方はリッチなまま、つまり格差の固定化につながっている、といわれています。
 これを回避すべく、“資産移転時期の選択に中立的な税制の構築に向けて、本格的な検討を進める”ことが明記されています。
 その他、教育資金や結婚子育て資金の一括贈与、住宅取得のための贈与に関する非課税措置についても、格差の固定化等の防止の観点を踏まえて、見直しを行っていくことも明記されていました。




 国としては、どうしたいんでしょうね?




 2020年の税制調査会での財務省作成の説明資料に、この“資産移転の時期に中立的でない”ことを示す資料として、アメリカやドイツ、フランスの課税方式を持ち出して日本の課税方式と比較しています。具体的には、これらの国で行われている贈与税と相続税(アメリカは遺産税。以下同じ)の統合との比較ですね。
 特に日本の暦年課税による贈与は、相続時に持ち戻されて相続税が課されるのは死亡前3年以内の贈与分のみであって、それよりも前の贈与分は持ち戻されず相続税は課税されません。一方、アメリカは一生涯の累積贈与額を加算、ドイツは10年分、フランスは15年分を死亡時から遡って加算しています。
 この3国と比較して、日本の3年分というのはいかがでしょうか、というのが財務省の意見なのでしょう。




 なるほど。
 合算したい、と。




 そうですね。
 そのように読めてしまいますよね。
 どこまで遡るのかは今後の検討になるのでしょうが、合算する年分を現行の3年分よりも増やす、というのはひとつの方向性としては考えられるのでしょうね。




 なかなか難しいですね。




 そうですね。
 相続人以外の贈与についてはどうなるのか、とか、課題はあると思います。
 どういった税体系に変わっていくのかは、今後も注視していかなければなりませんね。


※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
  本情報の転載および著作権法に定められた条件以外の複製等を禁じます。
お問合せ
門脇正義税理士事務所
〒810-0001
福岡県福岡市中央区天神
4-5-20正友ビル5階
TEL:092-406-6102
FAX:092-406-6103